◆構造
- 【橋の諸元】
- 【独創的なアーチ構造】
桁の迫り出し(1番から4番)
桁の迫り出し(5番から11番)
棟木によるアーチの完成 - 【橋脚の構造】
江戸時代の橋脚
(昭和25年の流失まで)
昭和の再建以降の橋脚
◆部材
◆建設
【主な部材】-3
17 鞍木(くらぎ)
桁組の側面に鼻梁と後梁を挟むようにⅤ字形に取り付けます。助木と接する部分は相欠きで組まれます。錦帯橋が「算盤橋」と呼ばれるのは、このⅤ字の形状に因んでいます。
助木・鞍木が取り付けられていない場合(創建時)の剛性(つよさ)は次の通りです。
- 偏荷重積載(アーチ橋半分に15t荷重)時は、変形が2.23倍に増大。
- 等分布荷重(60t荷重)時は、変形が3.13倍に増大。
- 固有振動数が3.3Hzから2.6Hzに変化。剛性に換算すると32%の低下。
このようなことから、創建時の錦帯橋は歩行時の振動と、橋が持つ固有振動とが共振して揺れが増幅され、上下左右激しく揺れたと思われます。共振で橋が落下した例は、1940年アメリカワシントン州のタコマ橋、1897年スコットランドのティ橋があります。その重要な働きがわかります。
18 振止(ふれどめ)
振止木(ふれどめぎ)ともいいます。後梁間に交差して設けられた水平の筋交で、横方向からの力に対し橋体のゆがみを抑えるために取り付けられたと考えられます。1橋あたり176本の材を使用しています。各材の寸法は図面上で出すことはできず、地上で行う仮組の時に実測して決めます。
19 橋板(きょうばん)
階段部分の段板と、アーチ頂上付近の敷板に分けられます。一橋あたり段板は60枚、敷板は約50枚です。長さは約5m、厚さは最初の段板が10.5cm、二枚目が9cm、頂上部に上がるほど敷板の厚さ7.5cmに近づきます。平成の架替では、橋板の値段は一枚目が約110万円、一枚平均で約50万円でした。
20 蔀板(しとみいた)
錦帯橋側面の化粧板。のこぎりの歯状に刻み目(羽刻み)をつけた蔀板受木に横板を張り、蔀板押を打ち付けています。板の端を1.5cmずつ重ねた「下見板張り」になっており、側面から見た美しさや、橋体を横雨から防ぐ役割をもちます。平成の架替では、橋板の値段は一枚あたり約2万5千円でした。
21 梁鼻隠(はりはなかくし)
蔀板からはみ出た梁(化粧梁、鼻梁、後梁、棟脇梁、棟梁)の両端の木口に取り付けられます。木口は水を吸い込みやすい特性をもちます。雨水の浸入を防ぎ美観を保つように木口を銅板で包み、梁巻金を巻いた後に取り付けます。木口に取り付ける鼻隠板(はなかくしいた)と上部に取り付ける雨覆板(あまおおいいた)からなります。アーチ橋はそれぞれ両面で74箇所、柱橋はそれぞれ両面で10箇所ずつあります。