【錦帯橋の未来に向けた取組み】
国指定名勝「錦帯橋」を確実に後世へ継承していくため、名勝錦帯橋が持つ本質的価値を整理し、保存活用等の方針を定めた、「名勝錦帯橋保存活用計画」を令和3年3月に策定し、同年5月に文化庁長官の認定を受けました。
また錦帯橋を中心とした周辺の歴史的なまちなみや豊かな自然によって形作られた文化的景観を後世に伝えるため、「錦川下流域における錦帯橋と岩国城下町の文化的景観保存活用計画」を令和3年1月に策定し、同年10月に国の重要文化的景観に選定されました。
更に、錦帯橋の本質的価値を人類共通の宝として国際的な価値へと昇華させ、その永続性を確立すべく、世界遺産登録に向けた活動を行っています。今後も錦帯橋が世界遺産登録されるために必要な課題に真摯に取り組み、後世への継承に必要な土壌を確実に形成していきます。
【これまでの取組み】
■ 平成18年9月26日
文化庁が世界文化遺産に係る地方公共団体説明会を開催、世界文化遺産暫定一覧表登載に向けた提案を公募した(暫定一覧表登載に至る手段がはじめて明確になりました)。
■ 平成18年11月30日
第1回 錦帯橋国際シンポジウム |
世界遺産暫定一覧表追加資産提案書「錦帯橋と岩国の町割」を山口県と共同で文化庁に提出(全国から24件が提案されました。)
「提案書」(PDF:約3.21MB)
■ 平成19年1月24日
文化庁が審議結果を発表。
「錦帯橋と岩国の町割」の提案書は平成19年度への継続審議となりました。
■ 平成19年5月25日
岩国城下町エリア文化的 景観等検討委員会 |
岩国城下町エリア文化的景観等検討委員会を設置し、世界文化遺産登録へ向けての共通課題や個別課題に取り組みました。
■ 平成19年6月1日
山口県において、山口県文化財等活用調査研究委員会が設置されました。
■ 平成19年7月
名勝錦帯橋保存管理計画策定業務を開始
(平成20年3月策定)
■ 平成19年12月28日
世界遺産暫定一覧表記載資産再提案書「錦帯橋と岩国の町割」を山口県と共同で文化庁に提出
「再提案書」(PDF:約2.08MB)
「検討状況報告書」(PDF:約1.53MB)
■ 平成20年1月
第1回錦帯橋国際シンポジウムの開催にあわせて、参加者に錦帯橋の構造を理解していただくため、5分の1スケールの模型(半橋分)を作成した。
■ 平成20年1月27日
第1回錦帯橋国際シンポジウムを開催。フランスのイコモス・アドバイザーであるミシェル・コット氏とアメリカの世界の橋梁研究者であるエリックデロニー氏をお招きし、講演、討論。錦帯橋が世界遺産となる可能性について確認しました。
「錦帯橋国際シンポジウム報告書」(PDF:約5.27MB)
ミッシェル・コット氏 | エリック・デロニー氏 |
■ 平成20年3月
錦帯橋用材のための 植樹活動 |
将来の錦帯橋用材とするため、錦町馬糞ヶ岳の市有林にヒノキの苗木を1500本植林するということで、ボランティアを募ったところ、悪天候の中50人が参加、無事植林されました。
■平成20年3月
名勝錦帯橋保存管理計画書
錦帯橋は、創建時の意匠を殆んど変えることなく技術的な改良が加えられ、現在まで大切に護られている世界に類のない技術遺産であります。
この遺産を将来に適切に保存・継承していくために、関係者のご協力を得て、保存管理計画を策定いたしました。
名勝錦帯橋保存管理計画書 (PDF:約2.85MB)
■ 平成20年5月
ミシェル・コット氏から市長宛の手紙が届く。
「1.核となる資産を見極めること、2.錦帯橋の持つ「技術」など目に見えない価値をはっきりさせること、3.世界遺産登録に向けた準備を継続して行うこと。錦帯橋は、世界に類を見ないすばらしい木造橋、世界遺産となることを願っている。」
■ 平成20年8月
エリック・デロニー氏が橋の専門誌「Bridge Design & Engineering」に錦帯橋の世界遺産に向けた取組に関する記事を執筆。
「錦帯橋は工学や美の観点からもっと世界に注目されるべき橋。構造継承の証明が必須。世界的視野から建設時期や類似橋梁との比較をすべき。」
■ 平成20年8月
カナダのケベックで開催された第32回ユネスコ世界遺産委員会で、これから先の世界遺産リストのための世界戦略として、「科学及び技術に関する遺産」を採択。
■ 平成20年9月26日
文化庁は再提案(19件)新規提案(13件)計32件の審議結果を発表。そのうち5件が暫定一覧表に掲載されました。
岩国市の提案を含む27件は暫定一覧表掲載候補資産とされ、3つのカテゴリーに区分されました。
「錦帯橋と岩国の町割」は、暫定一覧表掲載候補資産として、「カテゴリーⅠa」該当となりました。
■ 平成20年10月~21年1月
錦帯橋5分の1模型(半橋分)の組立体験授業を市内の小中学校で実施しました。
「錦帯橋5分の1模型の組み立て方」(PDF:9.41MB)
■ 平成21年2月
錦帯橋5分の1模型の残り半分を作成、アーチ橋1橋分が完成しました。
■ 平成21年3月~22年11月(春・秋季限定)
岩国市関戸倉庫(旧錦帯橋用材倉庫)で錦帯橋についてより深く知っていただくためのプログラム「錦帯橋 匠の技 特別展」を開催しました。
■ 平成21年3月30日
文化遺産特別講演会 |
世界文化遺産特別講演会を開催。
東京大学大学院教授の西村幸夫氏をお招きし、講演。世界遺産登録の意義とこれからの課題について確認しました。
■ 平成21年6月
世界遺産登録に向けて、課せられた課題に取り組んでいくため、岩国市錦帯橋世界文化遺産専門委員会を設置、以後検討を進めています。
■ 平成21年11月
平成20年3月に引き続き、錦町馬糞ヶ岳の市有林にヒノキ1300本、ヒバ200本を植林するため、ボランティアを募集し、50名が参加、無事植林されました。
■ 平成22年2月1日
世界遺産講演会「錦帯橋の魅力」(講師 早稲田大学理工学術院教授 依田照彦氏)を開催。錦帯橋がアーチ構造であることを判りやすく解説されました。
■ 平成22年4月
岩国市の機構改革に伴い、産業振興部観光振興課内に錦帯橋世界遺産推進室を設置しました。
■ 平成22年8月
錦帯橋公式ホームページ(本サイト)公開を開始しました。
■ 平成22年11月14日
方ヨウ氏 |
第2回錦帯橋国際シンポジウムを開催。中国の北京大学教授の方ヨウ氏をお招きし、講演、討論。中国に錦帯橋のルーツとなる橋がないことが確認され、第1回シンポジウムの結果と合わせて、世界唯一の価値を有する木橋であるという結論に達しました。
錦帯橋国際シンポジウム チラシ |
「シンポジウムチラシ」(PDF:約1.21MB)
「第2回錦帯橋国際シンポジウム報告書」(PDF:4.82MB)
■ 平成23年1月29日
世界遺産講演会 |
世界遺産講演会「フランス石橋紀行 -石から考える錦帯橋-」(講師 熊本大学大学院教授 小林一郎氏)を開催。西洋と東洋の橋梁に対する考え方の違いと、錦帯橋の特殊性をフランスの石橋を通して解説されました。
■平成23年7月10日
世界遺産勉強会 |
世界遺産勉強会「三匹のこぶたと考える木の話」
(講師 福岡大学工学部准教授 渡辺浩氏)を開催。
「木の素晴らしさ」についてさまざまな切り口から説明されました。
■平成23年8月4日(橋の日)
橋の構造解析 |
「橋の構造解析」 早稲田大学創造理工学部依田研究室が錦帯橋1/5模型を使い、錦帯橋が真のアーチ構造である事を力学的に証明する実験を行いました。この実験で構造上から唯一性を証明しました。
■平成23年9月5日
世界遺産講演会 |
世界遺産講演会「世界遺産がある街はこんな風になっているよ! -ギリシャ、アテネ、アクロポリス周辺について-」
(講師 徳山工業高等専門学校土木建築工学科准教授 中川明子氏)を開催。
岩国市立岩国小学校で6年生を対象に講演を行い、錦帯橋と同じ様にバッファゾーン(緩衝地帯)の重要な役割について説明されました。
■平成24年1月27日
世界遺産講演会 |
世界遺産講演会「錦川のあり方を考える -錦帯橋の世界遺産化に向けた自然との共生のために-」 (講師 新潟大学名誉教授 大熊孝氏)を開催。
「自然との共生」との観点から錦川と錦帯橋の関係を中心に説明されました。
■平成24年3月
錦帯橋みらい計画(基本方針)
清流錦川にかかる錦帯橋と城下町の風情漂う歴史的な空間とが調和した姿を次世代へと確実に継承することを目的として、関連する施策・事業を総合的に推進するための基本的な考えを示すものとして策定しました。
錦帯橋みらい計画(基本方針)(PDF:約1.97MB)
■平成24年6月23日
世界遺産講演会 |
世界遺産講演会「300年前の木造建築 -同世代の建築からみた錦帯橋の技術-」 (講師 東京大学生産技術研究所教授 腰原幹雄氏)を開催。
他の同年代の木造建築物と比較しながら錦帯橋の技術を説明しました。
■平成24年11月11日
錦帯橋シンポジウムin江戸 |
錦帯橋シンポジウムin江戸「錦帯橋の価値」を早稲田大学大隈記念講堂で開催。
第一部基調講演で元東京藝術大学学長、岩国市名誉市民の澄川喜一氏による「錦帯橋から東京スカイツリー®へ」、早稲田大学教授の依田照彦氏による「アーチがつなぐ錦帯橋」の講演を行い、第二部パネルディスカッションで「類いまれなる木造橋」をテーマに討論を行いました。
錦帯橋シンポジウムチラシ |
シンポジウムチラシ (PDF:約364KB)
■平成25年3月 錦帯橋論文集「究極の名橋 錦帯橋」
平成18・19年度に提案書「錦帯橋と岩国の町割」を文化庁に提出し、その課題等を調査・研究してきた中間報告的な論文集であり、世界遺産登録を目指す上で、また錦帯橋の様々な価値を広めていく上で大きな役割を担う論文集を作成しました。
■平成25年6月28日
世界遺産講演会 |
世界遺産講演会「錦帯橋に見る日本の木の文化-錦帯橋の時代、ヨーロッパはどんな橋をつくったか-」(講師 名古屋大学大学院教授 佐々木康寿氏)を開催。
ヨーロッパにおける近世から現代の木造橋を紹介され、錦帯橋の材料である木材が、いかに酸素供給や二酸化炭素摂取において、地球環境に優しい材料であるかを他の材料と比較して分かりやすく解説されました。
■平成26年1月10日
世界遺産講演会 |
世界遺産講演会「世界文化遺産候補の軍艦島-その現状と今後の問題点-」 (講師 東京電気大学名誉教授 阿久井喜孝氏)を開催。
なぜ軍艦島(端島)が世界文化遺産候補になったのか、軍艦島の歴史や文化的価値について解説されました。
■平成26年7月11日
世界遺産講演会 |
世界遺産講演会「世界遺産委員会勧告『科学と技術遺産』-錦帯橋への適用可能性を探る-」(講師 日本大学上席研究員 伊東孝氏)
世界遺産委員会にて提言された「科学と技術遺産」の内容や、世界遺産登録を目指す錦帯橋への適用の可能性などについて説明されました。
■平成27年3月7日
世界遺産講演会 |
世界遺産講演会「世界遺産の今と錦帯橋のこれから-世界遺産リスト登録に向けた価値づけを考える-」(講師 北海道大学観光学高等研究センター長 西山徳明氏)
日本における世界遺産をめぐる状況や、錦帯橋を中心とした価値づけの考え方などについて分かりやすく説明されました。
■平成27年4月1日
岩国のシンボルとして市民の皆様に愛され、守られてきた夢と時代の架け橋「錦帯橋」に関する、さまざまな取り組みを一層強化するため、錦帯橋課を設置しました。
今後は、世界文化遺産登録に向けて取り組む世界遺産推進班と、次の架け替えの準備を行う架け替え班が、それぞれの分野で事業展開していくことになります。
平成27年以降の取り組みについてはこちらをご覧ください。
・世界遺産への取組
http://kintaikyo-bridge.jp/heritage/efforts/
http://www.city.iwakuni.lg.jp/soshiki/40/56628.html