Archive for 2月, 2012

昨年11月に
イギリスで建築家として活躍されている
早津 毅さんからメールが届きました。

「キングストン大学の学生に
 錦帯橋の3分の1模型を造らせます」

とても面白そうな話でしたので、
早速資料をお送りしました。

 それから2ヶ月あまりたって、
返信がありましたので、ご紹介します。

 

Kingston Universityの学生たちと制作した
錦帯橋のレプリカが完成しました。
つきましては写真をいくつか送ります。

複雑で細かい細部のディテールと、
シンプルで優雅な全体のプロポーション
という相反した特徴を、
錦帯橋は同時に合わせ持っていると思います。
このことは、
「世界はディテールの積み重ねでできている」
という私たちの建築設計の考え方の手本になったと思っています。

大きさは幅1.5メートル、長さ12メートルと、
約3分の1のアーチの大きさとなっています。
部材はイギリスの建材規格サイズの2x2”と
2x3”を使っています。
全工作期間は週末も含めて10日という
比較的短い間にもかかわらず
構造もしっかりとした立派な橋が出来ました。
これもひとえに学生たちの熱心さと制作にかける
情熱によるものだと思います。

この橋はこの後3月にエコビルド

http://www.ecobuild.co.uk/attractions/timber-focus.html
 

というトレードフェアのイベントに展示される予定になっています。

オリジナルの構造やプロポーションを尊重しつつ、
限られた時間や技術、そして材料を使って
いかに自分たちなりの解釈を加えることができるか、
というのが我々の課題でした。
ディテールを変えることによって
新しく生き生きとしたデザインとなったことを
望んでいます。
また、8カ国を超える色々な文化のバックグラウンドを
持った学生たちの手によって日本の橋をイギリスで作る、
という異文化を混ぜ合わせる試みは、
創造の現場にとってとても大切なことのように思います。

  

いろんな国の学生さんが、
錦帯橋の資料から何を感じたのか、ちょっと気になりますね。

子や孫、更にずっと先の世代のために
「持続可能な資源」として木材が見直されています。
ヨーロッパのこうした活動に錦帯橋が取り上げられることを
とても誇らしく思います。

日本を訪れる機会があったら、是非本物の錦帯橋に来てくださいね。
 

今回は、会場でのアンケートの声を少し紹介します。

・今まで川について深く考えたことがなかったので
 とてもいい刺激になった。(20歳未満男性)

・錦帯橋の形状や技術的な面ばかりに注目していたが、
 自然との調和という異なった視点で錦帯橋について
 考えることができて良かった。(20歳未満男性)

・周囲がいかに自然と共生しているかが大事ということが
 分かった。あの駐車場は場所も良くないと思う。
 ロープウエーから橋の写真を撮ると車がたくさん写って
 現実に引きもどされてしまう。(20代女性)

・世界遺産化するに向けて、ただ錦帯橋だけではなく、
 周りの風景、しくみ等、多方面から見た評価も必要だと
 知りました。「絶対にこわれない」でなはなく
 流れても再建できる技術を守ることが大切、
 なるほどと思った。(40代女性)

・私は錦帯橋の近くに住んでいるので、もっと大切に
 しなければいけないと思った。(20歳未満女性)

・講演をきいて、錦帯橋を守っていくために、
 できることをしていきたい。(20歳未満男性)

・今後も、講演会を続けるべきだ。(60代男性)

これからも錦帯橋の講演会はじめ、いろいろなイベントを
 開催していきたいと思っております。

画質が荒いので、なかなかスライド内容まで
読み取ることはできません。
しかし、錦川と錦帯橋のかかわり方を通して、
人間が自然とどのように向き合うのかという
とてもスケールの大きなお話でした。

動画はこちら↓
http://gallery.inet.city.iwakuni.yamaguchi.jp/vod/vod_play.php?CNTID=5138

 

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